Jフード・ダイアリーズ

疲れたらカレーを飲め、と或る人が云った

介護の仕事・2020/1/21

でっぷりしたおじいさんが、堂々と廊下を歩いてくる。地元の名士だった人だ。


「よー」笑って、ひょいと手を上げる。


裸足だ。靴を履いていない。どこかに脱いできたのだ。どこだ? 探しにいかないといけない。こんな汚い廊下を、裸足で歩かせるわけにはいかない。



靴はすぐに見つかるときもあれば、見つけづらいところ、たとえば、タンスの中や、ベッドの下などに置いてあるときもある。試されているのかと、一瞬、疑ったこともあるが、それは考えすぎだ。おじいさんは認知症で、自分の行動を全く覚えていない。適当に脱いだだけなのだ。



この日はすぐに見つけることができた。最近、一日に五回は靴の捜索に向かう。同僚が発見してくれることもある。



おじいさんは日中、延々と歩いている。食事トイレ風呂以外はずっと歩いている。夜は寝るが、昼間は約100メートルある廊下(食堂をぐるっと囲む)をずっと歩く。元気なおじいさんだ。


はじめは靴の捜索が面倒だったが、最近では、脱いだ場所を推理したり、後輩と競って探したりするようになり、ちょっと楽しくなった。人は何にでも、面白味を見出だすものだ。明日は何分以内に見つけられるだろうか。



勝負だ!